Le parfum et moi.

香水と戯れる日々を過ごしています。

わたしの春の香り10選~後編~

こんにちは、Luiです。

 

さて、前編につづいて、春の香り10選の後編となります。

前編はフローラルにかたよりましたが、後編はバラエティに富んだ香りをご紹介していきたいと思います。

 

今回は、こちらの5本です。

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⑥CELINE『SAINT-GERMAIN-DES-PRÉS』

スタイリッシュな香水といえば、CELINE。ビジュアルももちろんですが、香りまでスタイリッシュなんですよね…

トップはプチグレンのフレッシュな香りから始まります。時間が経つにつれて、まるでスイーツのようにも感じられるおいしそうなバニラがただよい、その中にアイリスやヘリオトロープがパウダリーに咲く…どこか絵画のような雰囲気を醸し出す、なんともアーティスティックな香りです。

重たいバニラではなく、お菓子のような軽い感覚のバニラなので、春につけても甘ったるくなりません。また、パウダリーな花々がベースとして香るため、全体の印象はグルマンではなく、あくまでかわいらしいフローラルとしてまとまっています。

わたしの中で、この香りはフレンチルックにピッタリだな、と。70年代のジェーンバーキンを彷彿とさせる、どこかコケティッシュな魅力を感じます。

たぶん、この香りが通りすがりに香ってきたら、男性は思わず振り返ってしまうでしょうね…(女性のわたしでも振り返ります)

 

⑦Diptyque『OLENE』

お花の香り!(語彙力の消失)

でも、本当にお花の香りがするんです。間違いなく春にピッタリなんです。

わたしはサルが出没するほどの田舎で育ち、ホトケノザの蜜を吸って(本当です)育ちましたが、オレーヌを纏う度に、生々しいほど「花粉」の香りを感じます。

これでもかというくらいのジャスミンジャスミンジャスミン…ウィステリア(藤の花)の香りも確かにするのですが、とにかくジャスミンがパワフルかつ大胆に香ります。そして、その中にひっそりとスイカズラの気配も見え隠れし、蜜の甘い香りがほのかにただようのです。

春の明るい陽射しの中で、キラキラときらめくように香り立つフローラル。

この香りを纏った女性のゆく先々では、たくさんの花が開いていくでしょう。また、彼女の歩いた道のあとには、そよ風に揺れるジャスミンがさらにふくよかな香りを放つのです。

まさに、この後ろ姿のように。

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 ディップティックのシール、背面もステキですよね!

 

⑧Histoires de Parfums『7753/モナ』

おそらくレオナルド・ダ・ヴィンチモナ・リザ」を知らない人はいないでしょう。

そんな有名な絵画を香りで表現しようとは、なんとも大胆かつ斬新ですよね。

トップは底抜けにフレッシュなベルガモット。そしてアイビーのハーブのような香り立ちのグリーンがさらにさわやかさを加えます。

しかし、実はメインにいるのはチュベローズなんですよね。フレグランスにおけるチュベローズのイメージって、”肉感的”だったり、”官能的”だったり…女性における色っぽさの表現に多用されがち。

でも、7753でのチュベローズは、媚びたような香り立ちはしません

なぜなら、ベースのベチバーやサンダルウッド、オークモスがメンズフレグランスのような要素で、豊かな香りのチュベローズと対等に香るからです(オークモスってメンズフレグランスの定番ですよね)。

そもそも、モナ・リザとは「両性具有」に憧れたダ・ヴィンチが、両性具有の美を表現する意図で描かれたともいわれている謎多き作品です。この7753には、間違いなく両性具有を意識した調香がなされていると思います。

チュベローズは濃厚で重たく香ることが多いのですが、柑橘やグリーン、スパイスによってさわやかさと軽やかさが加えられているため、春にも纏えるチュベローズとしてオススメです。

 

⑨Histoires de Parfums『1831/ノルマ』

イストワールドゥパルファン2本目です…贔屓したわけじゃないんですよ…!

ベッリーニのオペラ「ノルマ」をテーマにした香り。女司祭(巫女)のノルマの高潔な魂への賛美が主題となった演目です。

これは個人的な好みですが、ピンクペッパーが大好きでして…トップのアルデヒドとピンクペッパーが鮮烈に香る瞬間に、アドレナリンが放出されます

また、ベースのムスクが石鹸のような清潔な香りをただよわせ、ローズやジャスミンとともに奏でるハーモニーがとても清らかで美しい…

しかし、この「ノルマ」という女性は、女司祭でありながら情熱的に恋をするし、子どもまでいるし…ひたすら清純ともいかないようなところが魅力的。そんな彼女の恋に生き、時には人を憎む人間らしさが時間経過とともにあらわれてれてくるのです。イランイランやラブダナムといった”いかにも”な香りが、ラストに向けてぐっと存在感を増してきて、彼女のセンシュアルな側面を引き出します。

清らかな乙女のなかにある官能的な欲望…相反する要素が絡み合って香り立つ。体に纏わりつくような生ぬるい風が吹く、気温が下がりきらない春の夜に選びたい香り。

 

⑩Maison Francis Kurkdjian『Amyris femme』

クルジャン、春に纏いたい香り多すぎ問題。

クルジャンの柑橘とフローラルって、言葉では言い尽くせないくらい上品で、素人にも高品質な香料であることがわかるんですよね。

私が『マイ・フェア・レディ』のヒギンズ教授なら、こうアドバイスするでしょう。「エレガントで優美なレディになりたいなら、クルジャンを纏うことから始めなさい」と。

アミリスファムのイメージとしては、現代に生きる上流階級の貴婦人

全体の香りとしては、パウダリーなアイリスがクラシカルな雰囲気を醸し出しますが、そこにアミリスのウッディな香りがモダンさを加えています。また、トップの弾けるシトラスは、おしとやかなだけの(つまらない)貴婦人ではなく、快活でエネルギッシュという現代的な一面を持つ女性の姿を表現しているように感じられるのです。

なお、ベースのムスクは、時間が経つにつれてアンニュイな色気を見せ始めるので、昼と夜のギャップも楽しめる1本だと思います。春のうららかな陽射しにも、夜の寂しげな空気にも合う香りです。

 

 

さて、これにて春の香り10選、すべて紹介いたしました!

本当はもう少しご紹介したいフレグランスもあったのですが、「これは夏にも合うな」というものは、また夏の香りの記事で紹介してもいいかなと思い…今回は、できる限り春に焦点を絞ってセレクトした背景があります。

 

日本は四季がはっきりしているので、香りの衣替えをする楽しみがありますね。

皆さまの春の香りもぜひ教えてください!