Le parfum et moi.

香水と戯れる日々を過ごしています。

「LOUIS VUITTON」ウィメンズフレグランスレビュー②

ヴィトンのフレグランスを香っている時は、なぜか鼻が疲れません。

レビューのためにどれだけ試しても、疲労を感じない、そして飽きない…

それがLOUIS VUITTONクオリティなんですね。

 

 

こんにちは、Luiです。

 

 

さて、前回に続いて、「LOUIS VUITTON」のウィメンズフレグランスのレビューをお送りいたします。

 

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シリーズごとにロゴの色も異なります。手前からゴールド・シルバー・ホワイト

 

 

⑦ROSE DES VENTS(ローズデヴァン)

艶やかで厳かに香るローズ…見渡す限り、大胆なピンクに色づいたバラが、花の女王たる貫録のある姿で咲き誇っています。情熱といえば”赤い”バラなんて誰が言ったのでしょうか。

この香りは、情熱的な”ピンク”のバラです。可愛らしい、清楚なバラではありません。

若かりし頃、燃えるような大恋愛を経験し、今ではしっとりと落ち着いた魅力を醸し出す女性…でも、そんな彼女が人生最後の恋に落ちた瞬間の香りでしょう。

あの頃の自分とは違い、ようやくスマートに生きられるようになったのに。どうして今になって…と冷静さを保てなくなった彼女の頬の色こそ、あのバラのようなピンクに染まっているのです。

どこかクラシカルな雰囲気を醸し出すローズの香りは、母胎へ回帰したような懐かしさを感じさせ、酸いも甘いも嚙み分けた経験の重さをも感じさせます。人生における「諦め」と「決断」を重ねてきた女性から、無意識に溢れてしまう色気が見事に表現された香りです。

 

 

 

⑧ATTRAPE-RÊVES(アトラップレーヴ)

トップは溌剌としたジンジャーと、フルーティーなライチ。さらに、ベルガモットがヒリヒリするほどの若さを感じさせます。しばらくすると、ピオニーがフレッシュに香り立ち、ローズを圧倒するほどの大胆さを見せてくれるのです。そして、全体に深みを与えるビターなカカオが、ありきたりなフローラルに留まりそうなところを洗練された香りへと昇華させています。

さて、話は変わりますが、わたし自身の見解として、香りというのは心地よいと感じるものを自由に選べばよいと思っています。

しかし、この香りの特徴ともいえる、ローズの美しさに怯まず香り立つピオニーの大胆さや、気後れしてしまいそうなほどのフレッシュさを纏いこなせるのは10代~20代前半まで…もしくは永遠のティーンエイジャー(であるために努力をしている人)に限られるのではないでしょうか。

正直なところ、「LOUIS VUITTON」でこの価格帯のフレグランスを購入できる年齢層とミスマッチな感覚は否めません。

しかし、わたしは学生時代の懐かしい友人と会う際、この香りを纏いたくなります。それはきっと、若かりし頃を思い起こす、ノスタルジックな感覚に陥るような香りだからです。

今のわたしはどんな姿をして、どんな場所に立っているのか。忘れかけていたみずみずしい感情を呼び覚まし、相対的に自分の重ねてきた時間を実感することができる香りです。

 

 

⑨LE JOUR SE LÈVE(ルジュールスレーヴ)

「夜が明ける」その名の通り、まるで”朝日を浴びた瞬間のすがすがしさ”を体現したような香りです。

マンダリンのフレッシュさは、朝日のカラリとした湿気のない暖かさを感じさせます。そして、もぎたての果実を包み込む果皮を感じさせるような”渋み”が、寝ぼけまなこをツン、と刺激し、心地よく目覚めさせてくれるのです。

この香りは、間違いなく朝に纏うべき構成で調香されていると思います。それは、夜明けをテーマとしているということだけでなく、他のラインナップを一日のどこかでレイヤリングすることによって、さらに魅力を開花させる香りだからです。

早朝に纏ったなら、昼下がりにはクールバタンと重ねて、マンダリンと洋ナシのフルーティーなハーモニーを楽しむのも素敵でしょう。洋ナシの完熟した甘さが主張するクールバタンですが、果皮のような渋みでバランスをとることができます。

個人的には、午後からの気分転換に纏うこともオススメです。ぼんやりとしがちな日中の頭をスッキリとさせてくれるような爽やかなマンダリンと、ジャスミンの華やかな香りが気分を高揚させてくれます。ここでのレイヤリングはアトラップレーヴを選び、ピリリとしたジンジャーと若々しいベルガモットを掛け合わせて、気分をリフレッシュしましょう!

玄人向けの香りではないかも知れませんが、レイヤリング次第でかなりの可能性を秘めた香りだと思っています。すでにお気に入りの香りを見つけられた方が、あともう一本を選ぶなら候補に挙がるのではないでしょうか。

 

 

⑩COEUR BATTANT(クールバタン)

この洋ナシの甘い誘惑に打ち勝てる男性はいるのでしょうか。クールバタンは、纏う女性自身を”熟れきった果実”に変身させてしまうほど蠱惑的です。かぶりつきたくなるほど瑞々しく、まだ触れてもいないのに今にも果汁があふれ出しそうなほどジューシーな香り。

しかし、ミドル以降のグッと大人びた雰囲気には驚くことでしょう…イランイランが姿をあらわしたことで急激に色気を増し、ジャスミンの華やかな香り立ちの中に、静かに咲く水仙の繊細さ。この香りを纏った女性が醸しだすトップとミドル以降の二面性に、不意を突かれて恋に落ちてしまう男性が後を絶たないであろうことが目に見えています。

LVのラインナップの中で、個人的に最も甘さを感じる香りです。そして、その甘さは小悪魔のような憎めないあざとさをもって、強く心を揺さぶってきます。甘ったるいフルーツの一辺倒に留まらないことから、明らかに狙いを定めて「陥落」させようとしている計画的犯行です。しかし、残念ながらこの甘美な誘惑に勝てる人間はいないでしょう…

 

 

⑪HEURES D'ABSENCE(ウールダプサンス)

決して目を引くような華やかさはないけれど、なんとなくいつも目で追ってしまう人っていますよね。この香りがまさにそうなんです。

正直なところ、単独で使用するには面白みに欠けてしまうかも知れません。2020年に発売されたウールダプサンスは、それまでに発売されたLVのラインナップと比較するとインパクトは弱めだと思います。派手さはなく、むしろどこか陰を感じさせるような香り立ちです。

そう、陰を感じさせる香りとは、他のラインナップと組み合わせることにより、相手の香りの華やかさを引き出す役割を果たします。むしろ、これまでのラインナップを経たことにより、満を持して発売されたと言ってもいい香りでしょう。

湿気のある日本の気候では、クールバタンのような甘みの強い香りは、どこかベタっとして平面的な香り立ちになってしまうことがあります。さらに梅雨の時期には、ムワっとして、もはや不快にも感じられる香りになった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか…そんなときにこそ、その香りの陰となり、”立体感”をもたせてくれます。

実は、ミモザの香りが苦手な私だったのですが(鼻の奥をキンキンと刺激されるような感じがして…)この香りによってミモザバイプレーヤー的魅力を知ることができました。

また、レイヤリングの相手が華やかであればあるほど、その香りを素肌に馴染ませるような立ち回りをする不思議な魅力をもった1本であると思っています。

 

⑫ÉTOILE FILANTE(エトワールフィラント)

 2021.4.1現在では、最新作にあたる香りです。

纏った瞬間、パッと閃光が走ったような衝撃を与えるオスマンサス

わたしたちがよく知る金木犀は、秋の訪れをゆったりと知らせるような風情のある香りではないでしょうか。しかし、この香りにおける金木犀は、まるで稲妻のようなスピード感でわたしたちの鼻を吹き抜けていきます。

ダイナミックな香り立ちの中にも、マグノリアの存在があるおかげで、香り全体の上品さがそこなわれることはありません。また、ジャスミンオスマンサスとマグノリアの橋渡し的な役割に徹しながらも、確実に華やかさを与えています。

そして、ラストまで辿りついた時、ホワイトムスクが胸に迫るような切ない余韻を残して去っていくのです。ここでようやく、わたしたちが知っている秋の金木犀に近しい何かを感じとることができます。

金木犀」というより「オスマンサス」の香りのため、意表を突かれるかも知れませんが、同時に新鮮味をもって感じられることでしょう。

 

 

 

さて、ウィメンズフレグランス全12本をご紹介いたしました!

 

わたしの拙筆では、なかなかLOUIS VUITTONとジャック・キャヴァリエの魅力を伝えきれないのがもどかしい…

ここまでレビューを読んでくださった方にこんなことを言うのもなんですが、わたしのレビューを読んでいただくよりも、実際にお試しいただく方がその素晴らしさを直に感じられるかと思いますので、

ぜひ店舗へ足を運んでいただき、あなたの肌で体感してくださったら嬉しいです。